建設業界は、競争が激しく、厳しい環境の中で事業を展開しています。建設業界の中でも、税務・会計面での問題や課題は多岐にわたります。
建設業界は、各工程において多額の原材料や人件費、外注費が発生するため、適正な原価計算や利益率の見極めが非常に重要となります。
また公共工事を行う建設会社は入札参加のため経営事項審査(経審)を受けなければならず、経審の評点を何点獲得できるかは非常に重要な課題です。
当事務所では原価計算や経審に精通した税理士が適正な原価計算のサポートを行い、正確な利益計算を実現するとともに、経審対策のアドバイスを行い評点アップのサポートを行います。
よくある悩み
- 決算前に当期の経審評点を知りたい
- 経審評点をアップさせたいがどの様にすればよいか分からない
- 経審と合わせて、節税も考えたい
- 経審ソフトでシュミレーションしているが、正しいか不安である
【建設業特化】津山公認会計士・税理士事務所にできること
専門家にご相談ください
- 経審診断(現状分析)
- 直近の経審結果と格付等級別の平均値・中央値を比較検証することによって、御社の現状分析を行います。
- 改善・対策提案
- 次回の競争入札参加資格審査(格付)に向け、目標P点を設定し、現状と目標とのギャップを埋める為の対策・改善策の提案を行います。
- 経審で加点となる会計参与の受諾
- 平成20年改正経審において、経理の適正化に積極的に取り組んでいる企業を加点評価することを目的に、(W点)その他の審査項目に「会計参与の設置」が加わりP点換算で14点の加点措置を受けております。
当事務所ではお客様からの要請により税理士法人として会計参与を受諾しております。
W51評価表
監査の受審状況 | 点数 |
---|---|
会計監査人の設置 | 20 |
会計参与の設置 | 10 |
経理処理の適性を確認した旨の書類の提出 | 2 |
無 | 0 |
経営事項審査(経審)とは?
建設業経営事項審査(以下「経審」といいます)とは、公共事業に入札を希望するすべての建設業者に義務付けられた、経営状況を客観的に点数で示す評価システムです。そのため、経審の結果を知らせる「経営事項審査結果通知書」は、まさに建設業者の通信簿とも言うべきものになっています。
対策
Y点アップ対策・・・決算前には必ず税理士と連携しY点アップ!
経営状況分析とは、企業の財務状況を一定の基準により点数化し評価したものになります。
下記の通りY点の幅は、0点から1,595点までであり、P点に換算すると0点から319点までの幅になり、経営状況の数値に対して319点もの点数が割り振られている以上決算を事前に予測し、Y点対策を決算確定前に行うことが重要となります。
- Y=経営状況分析の結果に係る数値[最高点:1,595点 最低点:0点]
- Y=167.3×A+583(Aは経営状況点数)
経営状況分析指標の算式と意味
審査の内容として、下記4要素8指標があります。
要素1 【負債抵抗力】
指標1. 純支払利息比率
売上高に対する純粋な支払利息の割合を見る比率
- 【指標】低い程良い
- 【目優先順位及び占有率】優先順位No.1 29.9%
指標2. 負債回転期間
負債総額が月商の何カ月分に相当するかを見る比率
- 【指標】低い程良い
- 【目優先順位及び占有率】優先順位No.4 11.4%
要素2 【収益性・効率性】
指標3.総資本売上総利益率
総資本に対する売上総利益の割合、つまり投下した総資本に対する売上総利益の状況を示す比率
- 【指標】高い程良い
- 【目優先順位及び占有率】優先順位No.2 21.4%
指標4.売上高経常利益率
売上高に対する経常利益の割合、つまり企業の経常的経営活動による収益力を示す比率
- 【指標】高い程良い
- 【目優先順位及び占有率】優先順位No.6 5.7%
要素3【財務健全性】
指標5.自己資本対固定資産比率
設備投資などの固定資産がどの程度自己資本で調達されているかを見る比率
- 【指標】高い程良い
- 【目優先順位及び占有率】優先順位No.5 6.8%
指標6.自己資本比率
総資本に対して自己資本の占める割合、つまり資本蓄積の度合いを示す比率
- 【指標】高い程良い
- 【目優先順位及び占有率】優先順位No.3 14.6%
要素4【絶対的力量】
指標7.営業キャッシュフロー
企業の営業活動により生じたキャッシュの増減を見る比率
- 【指標】高い程良い
- 【目優先順位及び占有率】優先順位No.7 5.7%
指標8.利益剰余金
企業の営業活動により蓄積された利益のストックを見る比率
- 【指標】高い程良い
- 【目優先順位及び占有率】優先順位No.8 4.4%
- 新計審Y点アップ対策
- 工事未払金」「買掛金」「未払金」「未払費用」などの支払は可能な限り先延ばしにする
- 未成工事受入金(工事前渡金、中間前金)を減らす
- 社長借入金を減らす
- 「現預金」の残高は、点数とは無関係
- 資産は「お金」で残す
- 「受取手形」「完成工事未収入金(売掛金)」は早く回収する
- 固定資産は「取得」ではなく「賃借」する
- 建設機械は「リース資産」として計上しない
- 固定資産台帳の見直し
- 株主配当や役員賞与金の支払を抑える
- 節税目的の保険加入は点数が下がる
- 不動産収入については「兼業売上高」へ計上する
- 「支払利息」を少なくする
- 災害損失は「特別損失」へ計上する
- 退職金は「販管費」ではなく、「特別損失」に計上する
- 決算期は「5月」「6月」が有利
- 保証協会に支払う保証金は「支払利息」へ計上しない
- 増資する
X点対策
X1点
申請する工事の種類別に『直前2年の年間平均完成工事高』または『直前3年の年間平均完成工事高』をX1評点テーブルに当てはめて計算します。(小数点以下、切り捨て)
『直前2年』とするか『直前3年』とするかは申請者が選択できますが、申請するすべての工事の種類において同一の方法によらなければならず、『直前2年』と『直前3年』を混在させることはできません。
また、『直前2年』とするか『直前3年』とするかはZ2評点で選択する方法と同じでなければなりません。
- X1点のポイント
- 受注の際には元請工事を増やす
- 積算能力の向上
- 完成工事高の平均値で有利な指標を選択する
- X1点アップ対策
- 完成工事高を可能な限り確保する
- 正確な積算を目指し、人材育成を
- 受注予定工事に照準を合わせ、経営事項審査へ
X2点
経営規模評価点X2は、経審のうち、経営規模を表す指標の1つで、自己資本額点数と平均利益点数で算出します。
- 経営規模評点X2=(自己資本額点数)+平均利益額点数)/2(少数点以下切り捨て)
- 自己資本額点数と平均利益額点数は、それぞれ算出テーブルに当てはめて算出します。
平均利益額は、利払前償却前利益の2期平均値(基準決算と前期決算の平均数値)です。
利払前税引前償却前利益は、下記計算式で算出します。
- 利払前税引前償却前利益=営業利益+減価償却実施額
- 自己資本額は2年平均するかしないかを選択出来ます。
平均利益額は、利払前税引前償却前利益の2期平均値(基準決算と前期決算の平均値)になります。平成24年7月改正では、親会社及び外国子会社合算の利益額及び自己資本額が評価の対象になります。
- X2点アップ対策
- 自己資本額の増額
- 平均利益額の増額について
W点対策
その他の審査項目(社会性等)評点Wは、経審のうち、社会的貢献度などの評価項目です。労働福祉の状況点数、建設業の営業継続点数、防災協定締結の有無点数、法令厳守状況点数、建設業経理点数、研究開発状況点数、建設機械保有状況点数、国際標準化機構登録点数を合計したものに×10×190/200を乗じたものを評点Wとします。
- W点のポイント
- ルールの遵守
- 自助努力の範囲
- X1のウェイト減の点数補完の面が強い
- 建退共への加入
- 退職一時金制度
- 法定外労働災害補償制度加入
- 雇用保険への加入
- 社会保険への加入
- 建設業の営業継続状況の点数
- 防災協定の締結
- 建設機械の保有状況
- ISOの認証取得
Z点対策
技術力評点Zは、経営事項審査(経審)のうち、技術力を審査する評点です。 技術者の資格と元請完工高によって、評点が決まります。
技術力評点Z=許可を受けた建設業の種類別の技術職員の数の点数(技術職員数値)×0.8+許可を受けた建設業に係る建設業に係る建設工事種別年間平均元請け完成工事高の点数×0.2(*)小数点以下は切り捨て
技術職員数評点は、資格区分に基づいて、技術職員数値を算出後、技術職員数評点算出テーブルに当てはめて算出します。
技術職員数値=G1×6+G2×5+G3×3+G4×2+G5×1
- G1 : 一級監理技術者であって監理技術者講習受講技術者の人数
- G2 : 一級監理技術者であって監理技術者講習受講者以外の技術者の人数
- G3 : 基幹技能者であって一級技術者以外の者の人数(3点)
- G4 : 二級技術者の人数(2点)
- G5 : その他技術者の人数(1点)
- Z点のポイント
- 従業員の人数を増やすのは本末転倒
- 技術職員の資格アップ
- 技術職員の重点配置
- 「元請完成高」の増加は大事ですが、粗利益率改善が主眼であり、Y点での対策と考えるべき
- Z点アップ対策
- Z点のみを見た単純増員は無意味。戦略的増員は計画的に
- 現在いる従業員の方で資格の充実を
- 技術職員の配置は数万パターン